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歯周病治療

歯周病治療
歯周病は、歯垢(プラーク)に潜む歯周病菌が原因で発症する、歯ぐきの炎症性疾患です。放置すると、歯を支えている歯槽骨が徐々に溶かされ、最終的には歯を失ってしまいます。
厚生労働省の令和4年度歯科疾患実態調査によれば、歯周炎(4mm以上の歯周ポケットを持つ者)に罹患している人の割合は20歳以上で約43.8%、65歳以上の高齢者で55.2%と、高い割合で罹患している病気であることがわかります。また米国疾病予防管理センター(CDC)の調査※(2009-2014年)では30歳以上の成人で42.2%、65歳以上では59.8%の割合であり、世界的に高い割合で蔓延している疾患であると言えます。
※ Eke PI et al. Periodontitis in U.S. adults: National Health and Nutrition Examination Survey 2009–2014. J Am Dent Assoc. 2018;149(7):576–588.
歯周病はその高い罹患率に加え、歯を失う主な原因の一つとなっており※1、日本においては抜歯の原因の第1位(37.1%)に挙げられています※2。
歯周病の初期は、自覚症状がほとんどありません。しかし、重症化して症状に気がついたときにはすでに手遅れになっているか、治療が難しくなっていることが珍しくありません。そのため、自覚症状がなくても定期的な歯科検診やメインテナンスを受けることが非常に重要です。
※1 Kassebaum NJ et al. Global burden of severe tooth loss: a systematic review and meta-analysis. J Dent Res. 2014;93(7 Suppl):20S-28S.
※2 8020推進財団 第2回永久歯の抜歯原因調査, 2018年
また、重度の歯周病は、疾病や障害による健康への影響を数値化した障害調整生存年(DALYs:Disability-Adjusted Life Years)へ大きな影響を与えることがわかっており、 1990年から2021年にかけて大幅に上昇しました。
※ GBD 2021 Oral Disorders Collaborators. (2025). Trends in the Global, Regional, and National Burden of Oral Conditions from 1990 to 2021: A Systematic Analysis for the Global Burden of Disease Study 2021. Lancet, 405(10482), 897–910.
注意が必要な方
- 長い間歯医者にかかっていない
- 歯は丈夫なほうなので歯医者にいかなくて良いと思っている
- 時間がなく面倒なので歯磨きにはあまり時間をかけない
- デンタルフロスや歯間ブラシは使っていない
- 糖尿病である、またはその傾向がある
- たばこを吸っている
歯周病の症状
- 歯ぐきが腫れる
- 歯磨きしたときに出血する
- 口臭が気になる
- 歯が長くなってきた気がする
- 歯がぐらぐら動く
- 歯ぐきから膿が出る
歯周病の進行度と治療方法
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第一段階歯肉炎
- 症状
- 細菌の毒素により歯ぐきに炎症が生じ、赤く腫れた状態です。痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、歯磨きの時に出血したり、見た目で明らかにわかるほど腫れてくる場合もあります(この場合は他の疾患との鑑別が必要です)。
この段階でのクリーニングやメインテナンスを怠ると、症状がさらに悪化してしまいます。 - 治療方法
- クリーニングを行い、セルフケアについてのアドバイスを行ないます。歯石が付着している場合には歯石の除去を行います。
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第二段階軽度歯周炎
- 症状
- 歯ぐきと歯を支える骨(歯槽骨)に軽度の炎症が生じた状態です。自覚症状はほとんどありませんが、歯磨きの時に歯ぐきから出血することがあります。歯と歯ぐきの間には歯周ポケットが形成され、歯垢や歯石が付着しやすくなります。
- 治療方法
- 歯周基本治療(プラークや歯石の除去、セルフケアのアドバイスなどを含んだ治療)を行います。
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第三段階中等度歯周炎
- 症状
- 歯周病菌による炎症反応によって歯槽骨が溶かされています。歯周ポケットも深くなり、ご自身でのセルフケアが困難になっています。口臭が気になったり、歯がグラつく感覚を覚えたりすることが増えてきます。
- 治療方法
- 歯周基本治療を行い、状態によっては歯周外科治療を行います。
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第四段階重度歯周炎
- 症状
- 歯槽骨の半分以上が破壊され、歯を支えることが難しくなっています。歯のグラつきがはっきりとわかり、歯ぐきから膿が出ることもあります。状態によっては治療が困難で抜歯となることがあります。さらに進行すると自然に歯が脱落することもあります。
- 治療方法
- 歯周基本治療に加え、状態により歯周外科治療や歯周組織再生療法を行います。
歯を失ってしまった場合、ブリッジ、義歯、インプラントなどの補綴治療を行います。

歯周再生療法について
歯周病によって失われた歯を支えている骨や歯肉などの組織を再生させる治療を、歯周組織再生療法といいます。この治療法では、歯ぐきを切開して炎症の原因である歯石や感染組織を取り除くとともに、失われた組織を再生させるために骨の再生を促す薬剤を塗布したり、新たな骨組織が作られるための足場となる材料を埋め込む手術を行います。
ただし、すべての歯周病に行えるわけではなく、治療が効果を発揮できる条件を満たした場合に行うことができます。
「リグロス®️」による歯周組織再生療法について
「リグロス®️」は、細胞の増殖を促す働きを持つ成長因子を含んでおり、この成分が歯周病で損傷を受けた骨組織の再生を促します。
治療では、歯肉を切開し、歯に付着している歯石や感染組織を徹底的に除去した後、「リグロス®️」を塗布します。その後に切開した歯肉を縫合し、骨組織の回復を待ちます。
※「リグロス®️」は口腔がんやその既往がある方には使用できません。
詳しくは科研製薬ホームページ(以下のバナーから入れます)を御覧ください。
2016年9月よりリグロスによる歯周組織再生療法は保険適用となりました。